中国が2016年から17年にかけて、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備決定に反発してじゅうたん爆撃のように報復措置を繰り出し、官製の嫌韓デモがあふれかえったときも、これを助長・擁護した中国国営メディアの論理は「小国が大国の利益を大きく侵害した」というものだった。16年12月に韓国の延期要請を無視して訪韓した陳海・中国外交部亜州局副局長は、韓国の実業家らとの会談の席で「小国が大国に対抗してよいのか」となじった。
ところが韓国政府は、中国の露骨な冷遇と不当な報復に抗議すらしない。文在寅(ムン・ジェイン)政権は中国をなだめるため、17年10月に「米国MD(ミサイル防衛)への参加、THAAD追加配備、韓米日軍事同盟をしない」という「THAAD3不」を約束し、軍事主権の放棄だという批判を招いた。その直後に訪中した文大統領は、北京大学での演説で韓国を「小さな国」、中国を「高い山の峰」「大国」と表現した。
程度の差はあるが、韓国の対中事大外交はきのう、きょう始まったことではない。中国は1992年の韓中修交からこれまでずっと、外交部の副局長・局長クラスの実務者を駐韓大使として派遣している。ところが韓国は、閣僚級・次官級の人物を駐中大使に内定し続けた。中国が、平壌には例外なく副部長(副長官)級の大使を送って露骨に南北を差別している点にも、問題を提起したことがない。
これは、北朝鮮の非核化と韓半島統一の局面で中国が決定的役割を果たしてくれるだろうという漠然とした期待、最大の貿易相手国との不都合な関係は大きな経済的損失になるという恐怖感などが複合的に作用した結果だと分析される。だが中国は、北朝鮮の核・ミサイル暴走を黙認・ほう助した。THAAD報復、尿素水問題に見られるように、中国に対する過度の依存が韓国経済の「毒」になるということも確認された。外交分野の長老らを中心に「中国を過大に包装してきたバブルがはじけただけに、修交30周年と新政権発足を迎える今年は、韓中間の非常識的甲乙関係(強者と弱者の関係)を正常化する元年にすべき」という主張が噴出しているのも、これが理由だ。
李竜洙(イ・ヨンス)記者