キム氏は「北朝鮮は特殊小型潜水艦や無人戦闘艦艇などの特殊船舶をイランなど中東の反米国家に販売しているが、『チョンソン貿易会社』という偽装貿易会社を通じて取引している」と話した。また、「『天安』前に金正恩が偵察総局に下した指示第1号は、黄長燁(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記を殺害することだった」「黄元書記が自然死していなければ、暗殺されていただろう」と述べた。
キム氏によると、北朝鮮工作員らは韓国の重要機関はもちろん、宗教界や市民団体のさまざまな場所で活動しているという。「北朝鮮工作員は宗教界に最も足を踏み入れやすい。政界・法曹界・言論界にもタコの足のように広がっている」というのだ。キム氏はまた、「北朝鮮支援という名分で北朝鮮に出入りする人々の中には、忠誠を誓って朝鮮労働党に入党したケースもある」「北朝鮮工作機関はハニートラップなどで彼らを買収する」と話した。「北朝鮮に来て、『核は統一以降の民族の力なので、どうか非核化しないで』と言った人物もいる」と語った。
平壌市江東郡出身のキム氏一族は、金日成(キム・イルソン)主席の父親・金亨稷(キム・ヒョンジク)と関連のある抗日革命関係者だという。こうした背景のため、キム氏は英才養成学校の金星中学校を卒業し、護衛司令部で3年間、軍で服務して朝鮮労働党に入党した。金策(キム・チェク)工業総合大学と人民経済大学、金正日政治軍事大学を卒業した。韓国での地下党構築を専門とする朝鮮労働党対外連絡部(6年)、対南工作を企画・実行する同党作戦部(10年)、海外情報担当機関の同党35号室(5年)で勤めたという。 2009年、北朝鮮が党対外連絡部、作戦部、35号室、軍偵察局を統合して「偵察総局」を作って以降は、2014年の亡命まで偵察総局5局の大佐だった。異例なことに、朝鮮労働党と軍の工作部署を行き来したのだ。キム氏は金正恩後継者構想を企画・主導したパク・ジョンスン党組織指導部第1副部長のめいの夫で、張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長とも親交があったという。張成沢処刑事件の政治的余波を受けて亡命した。
キム氏は、一部報道機関が報道した金正恩総書記の実の兄・金正哲(キム・ジョンチョル)氏が主軸になって組織したという上級幹部2世たちの集まり「ポンファ組」について、「実体のない組織」「金正哲は人にも会えず、社会と完全に断絶された人生を生きている」とし「ポンファ組は偵察総局傘下で、金正日の安全と健康を専門に研究・支援する性格のポンファ研究所が間違って伝えられたものだ」と言った。
キム氏は「北朝鮮では軍総参謀長であれ、党政治局常務委員であれ、根がなければいつでも飛ばされる可能性がある」「内閣総理が『道端の電信柱』と呼ばれているほど、ガラス板の上に立てられたかかしたち(のようなものだ)」と話した。金正恩総書記の妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏については「芸術団など李雪主にかかわった人々は全員粛清された」と語った。
キム・ミョンソン記者