高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が保守系野党・国民の力から大統領選挙に出馬している尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補のファンコミュニティ会員、そして韓東勲(ハン・ドンフン)検事長(司法研修院副院長)の家族についても通信資料の照会を行っていたことが9日までに確認された。
本紙の取材を総合すると、公捜処捜査3部(部長、チェ・ソッキュ)は昨年10月5日、通信資料の照会を通じてソウル市鍾路区に住む50代の主婦キム氏の携帯電話加入情報(氏名、住民登録番号、住所など)を通信会社から受け取っていた。
キム氏は2020年8月ごろ、尹候補と韓検事長のファンコミュニティであるネイバーのカフェ「22C大韓民国尹錫悦」と「ウィズ・フニー(韓東勲ファンクラブ)」に加入した。キム氏は本紙の取材に「政治には全く関心がなかったが、『チョ・グク一家による入試不正事件』などを見て子供を持つ親として憤慨し、尹候補を応援するようになった」「カフェに尹候補を応援する書き込みを行っただけだが、公捜処から通信照会を受けたという事実はとても怖い」と心境を語った。
この日の時点で尹候補ファンコミュニティからはキム氏のほかに2人の会員についても公捜処により通信資料が照会されたという。いずれもソウル市内に住む50-60代の主婦で、公捜処捜査3部から昨年10月5日に通信資料が照会されたようだ。
公捜処は今回の通信資料照会の理由についてこの日も「全ての捜査は適法な手続きによって行っており、進行中の個別の捜査について具体的な内容は言えない」と説明した。捜査3部は昨年9月以降、いわゆる「告発けしかけ疑惑」の捜査を本格的に行ってきた。法曹界では「尹候補周辺を力尽くで調べる過程で起こったようだ」との見方が出ている。上記の3人はいずれも「尹候補や韓検事長ら『告発けしかけ疑惑』の捜査対象者と連絡を取り合ったこともない」と語った。
尹候補ファンコミュニティは会員数がおよそ9500人で、運営者は会員の電話番号管理や、カカオトーク対話ルームは運営していないという。通信資料が照会された3人は互いに面識はないが、昨年尹候補が国民の力入党に向け調整が行われた時期に国民の力党員になったという共通点がある。
ある法曹人は「もし野党への入党が通信資料照会の根拠だとすれば、これは明らかに政治への介入であり、大きな波紋が出るだろう」と指摘した。3人のうちの1人は本紙の電話取材に「チョ・グク事態が起こり、大学生の子供を持つ親として尹錫悦検事総長を支持した平凡な主婦だ」とした上で「公務員を目指す大学生の息子に被害が出ないか怖くて夜も眠れない」と語った。
また、公捜処捜査3部は昨年9月、韓東勲検事長に続き昨年10月には韓検事長の妻と未成年の子供の通信資料を照会していた事実もこの日までに新たに確認された。韓検事長は文書を通じ「長い間捜査活動をしてきたが、捜査機関がこのように人権や憲法の怖さを理解せず自分勝手に行動したことは見たことも聞いたこともない」「正常な捜査のやり方ではない。誰がいかなる理由で、どのような手続きを経てこんなことが行われたのか、具体的に説明し責任を追及すべきだ」と訴えた。
ピョ・テジュン記者