北部の「北方希土集団」と南部の新規統合法人は、中国全体のレアアース生産量の90%を占める。レアアース採掘・製錬・輸出といった業務がたった2つの企業に統合されることにより、レアアースの価格は事実上、中国政府の意のままになることになったのだ。日本経済新聞の英文メディア「Nikkei Asia」は「中国は2010年の尖閣諸島(中国名:釣魚群島)をめぐる日中紛争時、日本にレアアース輸出を禁止して圧力をかけた」「(統合法人が作られたら)習近平主席のリーダーシップの下、レアアースはより効果的な戦略上の武器になるだろう」と報道した。
■代替品のないレアアース、価格は既に急騰
既に昨年から主なレアアースの価格は2倍近く急騰している。レアアースの需要は増えているが、供給は不足しているのが実情だからだ。特に今年初め、カーボンニュートラル(炭素中立)を理由に中国がレアアース減産に踏み切ったことから、エコカーの重要性が強調され、供給と需要の不均衡がひどくなった。中国以外の供給先がほとんどないことも問題だ。米国はオーストラリア・日本・インドと手を組んで軽希土類の採掘・生産を始めたが、重希土類は依然として中国に依存しなければならない。中国・米国に次いで3番目に大きいレアアース生産国であるミャンマーは、クーデターでレアアース輸出がほぼ不可能な状態だ。
事実、韓国鉱物資源公社が27日に明らかにしたところによると、重希土類のテルビウムは昨年10月30日の1キログラムあたり717.5ドル(約8万1700円)から今年10月22日には1403.5ドル(約16万円)へと価格が上がり、酸化ジスプロシウムも同期間に247.5ドル(約2万8000円)から428ドル(約4万9000円)になった 。韓国地質資源研究院のキム・リナ博士は「これといった代わりがない状況で、中国が重希土類の統制権まで強化すれば、電気自動車などが中心のエコ時代において新たな変数となるだろう」と語った。