盧泰愚(ノ・テウ)元大統領の葬儀は史上2回目の国家葬で五日間行われる。国家葬とは、国または社会に著しい勲功を残し、国民にあがめ慕われている人物が逝去した場合に行われる最高礼遇の国家葬礼だ。国家葬法は、元大統領、現職大統領、大統領当選者、国家・社会に著しい勲功を残した人物を国家葬の対象と規定している。
かつて国家葬は国葬と国民葬に分かれていた。朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領・金大中(キム・デジュン)元大統領は国葬、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領・崔圭夏(チェ・ギュハ)元大統領と、朴正煕元大統領の妻・陸英修(ユク・ヨンス)夫人の葬儀は国民葬で行われた。国葬の期間は九日間、国民葬の期間は七日間以内で、国葬の方が格が高かった。しかし、従来法律は国葬・国民葬の対象を厳格に規定していなかったため、金大中元大統領と盧武鉉元大統領の葬儀を行う際、葬儀の格をめぐって議論があった。
「国葬・国民葬の区別は不要な社会的確執を誘発する素地がある」という指摘が出たことから、政府は2011年5月に法律を改正し、国葬と国民葬を国家葬に統合した。葬儀期間は五日間以内とし、費用は国が負担する。弔旗は葬儀期間中ずっと掲揚されるが、国葬のように葬儀期間に官公署が休むことはない。これにより、2015年の金泳三(キム・ヨンサム)元大統領の葬儀は初の国家葬になった。
ただし、盧泰愚元大統領の国立墓地埋葬は行われない。現行の国立墓地法は、元大統領または国家葬で葬儀を行った人物を埋葬対象としている。しかし、刑法第87条(内乱罪)などで刑が確定した者は国立墓地に埋葬することができない。12・12軍事反乱(1979年12月12日に起こった粛軍クーデター)の中心人物だった盧泰愚元大統領は1997年に内乱罪で懲役17年の刑が確定した。国家報勲処は、盧泰愚元大統領が赦免・復権されていても、前科自体が消えるわけではないため、国立墓地への埋葬は難しいと判断した。