2011年にフリーランスの監督として独立するまでの20年間で、『ドラえもん』テレビシリーズ30本と劇場用中編7本、長編2本の作画・演出を手がけた。『ドラえもん』のファンだった子どもが『ドラえもん』シリーズの監督になったのだ。渡辺監督は「ドラえもんとのび太の友情を基本的な骨格としながらも、恐竜や植物、SFや歴史など、さまざまなテーマを開発して、常に新しい物語を生み出してきたことが、このシリーズの長寿の秘訣(ひけつ)です」と語った。
2011年の独立以降は学園スポーツアニメ『メジャーセカンド』、宇宙飛行士の夢に挑む兄弟を描いた『宇宙兄弟』、ファンタジー作品『海獣の子供』など、さまざまなジャンルに挑戦してきた。渡辺監督は「固定された方向性を決めず、できるだけ自由に多くのテーマを描きたいという夢がありました」と話す。「琉花」という少女が子どものころの思い出の水族館で不思議な双子の少年「海」と「空」に会って体験する出来事を描いた『海獣の子供』により富川国際アニメーションフェスティバル大賞を昨年受賞し、その縁で今年の審査委員長を務めることになった。渡辺監督の新作『漁港の肉子ちゃん』も22日に同フェスティバル開幕作として韓国で上映される。監督は「作品に登場する母娘間の情を通じ、生きることの喜びと将来の希望について伝えたいと思いました」と語った。
渡辺監督もポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』(2003年)や『母なる証明』(2009年)のDVDを買い集め、アイドルグループTWICE(トゥワイス)やBTS(防弾少年団)の歌を聞く韓流ポップカルチャ-・ファンだ。渡辺監督の作品に参加している韓国人アニメーターも30人余りに上る。渡辺監督は「日本やディズニーと仕事をする韓国人アニメーターたちの技術レベルは既に世界的なものです。常に誠実さや熱意が感じられます。絵のスタイルやアイデンティティーで固有の様式を確立すれば、衝撃的な作品が間もなく出てくるでしょう」と語った。
金性鉉(キム・ソンヒョン)記者