■通商外交の実績があまりない文在寅政権
「CPTPPへの加入申請は外交政策の実績作りでは」との指摘もある。まず金大中(キム・デジュン)政権は2003年にチリとの自由貿易協定(FTA)を妥結し、これが自由貿易協定の先駆けとなった。さらに盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は米国とのFTA(2007年)、李明博(イ・ミョンバク)政権は欧州連合(EU)とのFTA(2010年)、朴槿恵(パク・クンヘ)政権は中国とのFTA(2015年)を締結するなど、いずれも大きな規模のFTAに署名した。これに対して現政権による通商領土の拡大はパナマ、コスタリカ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグアの中米5カ国とのFTA締結にとどまっている。
韓国政府はこれまで「米国が再び参加しない限り、CPTPPに加入しても実益はさほど大きくない」と判断してきた。CPTPP加盟国のうち日本とメキシコを除けば、韓国はすでに一定レベルの2国間協定を締結しているからだ。対外経済政策研究院のソ・ジンギョ研究員は「新たな実益がさほど大きくないとの理由で加入の時期をチェックするだけだったが、今が適切な時期と考えられる特別な事情や環境の変化があったとは思えない」と指摘した。
金正薫(キム・ジョンフン)記者