性暴力の被害に遭って両性平等センターなどを通して被害事実を報告した韓国軍幹部(将校・下士官)の数が過去4年間で700人を超え、このうち12%は軍を離れていたことが17日までに判明した。性犯罪に対する韓国軍当局の調査と処罰が手ぬるい上、被害者・加害者の分離措置や被害者に対する事後支援などが後進的なせいだと指摘されている。
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韓国の保守系最大野党「国民の力」に所属する尹漢洪(ユン・ハンホン)議員が17日に韓国国防部(省に相当)および陸海空軍・海兵隊から受け取った資料によると、2018年から今年6月までの4年間で性暴力被害に遭ったと公式に申告した幹部は739人いた。将校は245人、下士官は494人だった。このうち89人(12%)は軍を離れたことも判明した。
性暴力被害に遭った幹部の除隊者数は2018年40人(25.5%)、19年33人(17.4%)、20年16人(9.3%)と、減少傾向を示していた。しかし毎年発生する性暴力被害幹部の数は18年157人、19年190人、20年172人、今年は6月現在で220人と、次第に増えつつある。
被害に遭った幹部の数が今年急増した理由は、セクハラ被害の申告後に自ら命を絶った韓国空軍のイ中士(軍曹に相当)の事件を経て、国防部が大々的な申告キャンペーンを展開したからだと分析されている。尹議員は「公式に受理された事件はこの程度だが、各級部隊でもみ消し、闇に葬った事件も少なくないだろう」とし「残っている被害者らも、軍に加害者の処罰の被害の回復を期待しつつ除隊を遅らせているのではないかと問うてみなければならない」と語った。
さらに尹議員は「勇気を出して性暴力被害の事実を申告しても被害者・加害者の分離などが直ちに行われず、被害者に対し『変な人間』とレッテル貼りする後進的文化のせいで、韓国軍は惜しい人材を失っている」と批判した。実際、空軍イ中士の自殺事件の際も、韓国空軍は報告漏れ、不十分な捜査などで2次加害を放置し、最終的にイ中士を極端な選択へと追いやった。
尹議員は「不十分な初動捜査の責任者として名前の挙がった空軍のチョン・イクス法務室長など、捜査指揮ラインがただの一人も起訴されないまま事件が終結した」とし「人が死んでも誰も責任を取らない姿に、軍に残っている700人以上の被害者らは挫折を感じていることだろう」と語った。