病院側は119番通報し、Aさんは救急治療室で心肺蘇生術を受けたが、外傷性脳損傷などで死亡した。病院関係者は「患者の状態が重篤で、午後遅くにMRI撮影を行った。当時酸素ボンベがある状況でなぜMRI機器を作動させたのか確認している」と説明した。病院は患者のプライバシー保護のため、MRI室には監視カメラを設置していなかった。警察関係者は「死亡したAさんの胸に酸素ボンベで押された痕跡がみられる」とし、18日に国立科学捜査研究院での司法解剖を通じ、正確な死因を特定し、病院側の過失についても判断する方針だと説明した。
MRI機器が発生させる磁気は大型の鉄製ベッドも瞬く間に引き寄せるほどの強さがあるという。蔚山科学技術大学校(UNIST)バイオメディカル工学科のチョ・ヒョンジュン教授は「最近国内外のMRI機器は1.5~3テスラの強い磁場を発生させる。地球の磁場の3万-6万倍のに達する強さだ」と説明した。食品医薬品安全処のMRI取扱時注意事項にもMRI機器にくっついたり吸い込まれたりしたベッド、椅子による海外での事故例が記載されている。大韓映像医学会のパク・ポムジン広報理事(高麗大教授)は「韓国国内では医療陣がガウンのポケットに挿していたはさみなどがMRI機器にくっついた程度の事例はあったが、酸素ボンベが飛んでいき患者を死亡させたケースは初めて見る」と話した。
保健福祉部はMRIの管理・運用のため、「特殊医療設備の設置および運営に関する規則」を取りまとめ、専門知識を持つ医療陣が機器を安全に管理するよう定めている。しかし、金属製酸素ボンベなど磁力に引き寄せられる製品をMRI室に置いてはならないという具体的な条項はない。
医療関係者は「MRI室に金属製の設備や機器を置いてはならないというのは医療関係者であれば誰でも知っている常識だ。患者には検査前に装身具や時計など金属製品を外してもらい、ペースメーカーなどを体内に埋め込んでいないかも事前に確認している」と話した。今回の事故はそれだけ理解が難しい例外的ケースと言える。