2016年に囲碁の対局でイ・セドル九段に勝利したグーグルのAI「AlphaGo」は数百個の中央処理装置、グラフィック半導体、サーバーで構成するコンピューターシステムだった。これに対し、AI半導体はAlphaGoの性能を単独のチップセットで具現するものだ。それほど設計、製作が困難で、世界の大手テクノロジー企業が巨額の投資を行っている。
ペク代表は「今回のコンペティションを通じ、我々が世界市場に通用する技術と製品を持っていることを全世界に知らしめたことに大きな意味がある」と述べた。実際にAI半導体を開発している世界の企業40社余りで今回のコンペティションに製品を出品したのは、エヌビディア、クアルコム、セントア(Centaur)、フュリオサAIの4社だけだった。IT業界関係者は「製品性能が完全に公開される大会で競争できるほどの技術を持つ企業はそれほど少ないということだ」と話した。
フュリオサAIはサムスン電子、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)で半導体設計分野の研究員を務めたペク代表が2017年に創業した。サムスン電子だけでなく、グーグル、アマゾンのような大手テクノロジー企業出身の半導体エンジニア約70人が集まり、AI半導体のチップ開発だけに全てを投入した。AI半導体分野はリスクが大きいが、人材構成に可能性を見いだした投資家が支援に乗り出した。ペク代表は「米国で半導体設計スタートアップブームが起きたことも後押しとなった」と話した。
フュリオサAIは今年5月にはネイバー、DSCインベストメント、韓国産業銀行などから半導体スタートアップとしては最大規模となる800億ウォン(約75億円)の投資を受けた。ペク代表は「今後グローバル市場で競争力を持つAI半導体を発売する計画だ。2023年上半期を目標として、次世代チップの開発に入っており、いつかはエヌビディアを超え、世界トップのAI半導体企業になる」と抱負を語った。