電子顕微鏡分野の権威として知られる韓国科学技術院(KAIST)物理学科のパク・ヨングン教授は「韓国における工学部の専攻科目は1970-80年代に日本に追い付くために作られたカリキュラムだ。これは他人が作った問題とその答え方を同じように再現することを目指すものだ」「これまで世の中になかった技術が日々生まれているのに、問題を解くための授業ばかりを続けていると、大学は産業の発展に貢献できなくなる」と警告する。
「政府が問題を大きくした」との指摘もある。大学教育のレベルは時代の変化に取り残されてはならないが、政府は古い基準による画一的な評価で大学を一列に並ばせており、これが革新の障害になっているというのだ。浦項工科大学(ポステック)産業経営工学科のチョン・ウソン教授は「革新的な講義のやり方や産学協力関連の講義に対する新たな評価基準を作り、大学を評価する際にはこれを反映させなければならない」「それには教授たちが新しい科目を常に開発できるよう、大学と政府が積極的に動くしかない」と訴えている。しかし現状についてチョン教授は「徹夜で研究し、新しい科目を作って講義を行っても、大学は講義時間だけを評価の基準にしているので、多くの教授たちが毎年同じ内容の原論や概論授業ばかり開設するようになる」と説明する。大学における今の仕組みでは教授たちがこれまでなかった授業を開設するためのインセンティブ(動機付け)がないのだ。