最近中国は、芸能人の国籍やかつての行動に基づいてブラックリストを作り、子どもたちのコンピューターゲームの時間まで規制している。中国映画の専門家で韓国外語大インジェニウム・カレッジ教授のイム・デグン氏は「毛沢東以降、中国の権力者は権力を強固にするため『整風運動』を起こしてきた。今の権力も政敵の除去で始まり、2-3年前からアリババの馬雲など経済界の『整風』を進め、今や文化領域へと及んだ」とし「このごろは『韓国を通して入ってくる資本主義文化が問題』と、公々然と宣伝している」と語った。
その上、中国の映画やドラマは中国国内だけでは終わらない。最近の『朝鮮退魔師』問題で少しずつ分かってき始めたが、中国の執拗(しつよう)な歴史歪曲(わいきょく)はぞっとするほどだ。また中国資本は、韓国の映画・ドラマ制作会社、マネジメント会社をカネの力で少しずつ削り取っている。文化の比較優位は一瞬で逆転しかねない。そのときも、今のように「中国映画は幼稚だから見ない」と余裕でいられるだろうか。
『戦狼2』の中国版ポスターのコピーは「わが中華を犯す者は、遠きにありても必ず誅(ちゅう)せん(犯我中華者、雖遠必誅)」だった。映画というジャンルそのものがいくら商業的、政治的に堕落したといっても、これほど無道な広告コピーを掲げて歴代最高のヒット作になる国は、この世で中国だけだ。中国の「文化崛起(くっき、頭角を現すこと)」は普遍的常識を飛び越える水準のもので、狡猾(こうかつ)であり、緻密だ。しっかり気を付けていなければならない。
李泰勲(イ・テフン)記者