法曹界関係者らは「野党の有力な大統領選挙候補者を相手に、罪の有無を調べようと家宅捜索したというのはとんでもない理由だ」「公捜処が大統領選挙の局面に介入したのも同然だ」と批判した。公捜処が尹前検察総長の容疑を公表したことをめぐっては、「人権侵害の余地があるため、容疑を公表しないほかの捜査機関と比較すると正常とは言えない」との指摘もある。
野党は強く反発している。国民の力の李俊錫(イ・ジュンソク)代表や金起ヒョン(キム・ギヒョン)院内代表らは家宅捜索現場を訪れ、「深刻な野党弾圧だ」と抗議した。尹前検察総長は「(疑惑を立証するだけの)資料があるという見込みがあって初めて家宅捜索も、人を呼んでの調査も行われるものだ」「見せしめであると同時に、恥をかかせようという行為」と批判した。自身が立件されたことについては「立件するというならしてみよ」「公捜処は国民の関心が立件の基準のようだ」と言った。
家宅捜索手続きと対象も議論になっている。金議員が「公捜処が私自身ではなく補佐官に家宅捜索令状を提示し、補佐官のパソコンまで家宅捜索したのは違法だ」として反発すると、公捜処は「補佐官が金議員から任されたと言ったので、補佐官のパソコンも家宅捜索対象だ」と述べた。野党側の反発により、金議員の事務所の家宅捜索は同日、結局失敗した。公捜処は「令状を再執行するかどうかを検討する」と話している。
こうした中、今回の疑惑について調査を行ってきた大検察庁監察部は、公捜処の捜査とは別に、独自の監察を続行すると発表した。このため、1つの事案について2つの捜査機関が捜査と監察を同時に進行する状況となっている。