大手メーカーなどが中国産唐辛子粉を使う理由は「価格競争力」にある。韓国産は中国産に比べて3-6倍も高い。ある大手食品メーカーの関係者は「今でさえ韓国産キムチは海外メーカーのキムチよりも高いのに、韓国産唐辛子粉を使って価格がさらに跳ね上がれば輸出は難しくなるだろう」と説明した。
別の食品メーカー関係者によると、イタリアの「ナポリ・ピザ」の場合、ナポリ方式で作りさえすれば海外で調理してもその名称が使えるという。つまり「原材料の基準にいつまでもこだわっていれば、逆に韓国メーカーに損害が発生しかねない」ということだ。
韓国貿易協会や農林畜産食品部などによると、昨年のキムチ輸出は1億1909万ドル(約130億円)で過去最高を記録した。今年も上半期だけで8680万ドル(約95億円)を輸出し、年間では昨年の記録を上回るのは確実だ。このように輸出は好調だが、韓国メーカーが作ったキムチに中国の唐辛子粉が使われているという理由で「韓国キムチ」と言えないのであれば、「かえって輸出の逆風になりかねない」との懸念も指摘されている。
一方で韓国産の材料だけを使うメーカーは「韓国産唐辛子粉にこだわる理由」について「価格が高くなっても味と品質を守るため」と主張する。
唐辛子の生産農家は「韓国産の材料で漬けたキムチだけを韓国キムチとして認めるべきだ」と主張しているが、農産物業界に詳しい専門家の多くもこの考え方を支持している。唐辛子産業連合会のホン・ソンジュ会長は「中国産唐辛子粉を使用した場合は『中国産混合キムチ』とはっきり表記すればよいが、これを『韓国キムチ』と偽った場合は厳しく対処する」と明言した。農村経済研究院のパク・キファン先任研究委員は「実際は輸入された原材料を使いながら、その一方で国名を使った地理的表示保護の適用を受けたいようだが、これは制度の趣旨を間違って理解しているからだ」と指摘した。