韓国陸軍は昨年、「空の救急室」と呼ぶメディオンを8機、実戦配備した。導入価格は合計2200億ウォン(現在のレートで約211億円。以下同じ)。事故機は昨年秋に配備されたという。機内には各種の救急医療装備が備わっていて、重症患者2人など最大6人の患者を輸送できる。さらに、メディオンは軍人だけでなく民間人の緊急医務輸送も支援している。
スリオン系列のヘリは2013年に実戦配備された後、数回にわたって事故が続いている。韓国陸軍と海兵隊は事故直後、スリオン・メディオンをはじめ、同じスリオン系列の上陸機動ヘリ「マリオン」(MUH1)の運航を全面中止した。また、航空作戦司令官を委員長とする調査委を立ち上げ、韓国航空宇宙産業(KAI)などと共に正確な事故原因を調査する方針だ。
スリオンは韓国陸軍の老朽ヘリ(UH1H、500MD)を代替するため、06年からおよそ6年かけて開発した韓国の国産ヘリだ。税金1兆3000億ウォン(約1250億円)が投じられた。しかし13年の戦力化以降、各種の事故が続いている。13年から16年にかけて、前面ガラスの破損事故が5回も発生した。14年にはローターと胴体上部のワイヤカッターが接触して破損し、エンジンが停止した。15年にはエンジンが停止して緊急着陸したり墜落したりする事故が3件続いた。
さらに18年には海兵隊のマリオンが墜落し、搭乗員5人が命を落とした。当時の民・官・軍合同調査委員会は、回転翼と胴体を連結する重要部品「ローターマスト」の破損を事故原因に挙げた。