大邱市中区のショッピング街・東城路を象徴する建物「大邱百貨店(通称:大百)」本店が開店から77年で閉店した。同地域を代表するデパートだったが、大手デパート進出やインターネット・ショッピング・サイトの増加により売上高が年々減っていた上、新型コロナウイルス感染症流行の直撃を受け、無期限休業を決定したものだ。
先月30日に最後の営業日を迎えた大百本店は買い物客でにぎわった。売り場のあちこちに「長い間、本店をご利用いただきありがとうございました」という案内文が掲げられていた。 70年間余りにわたる謝恩品など思い出の品を展示したスペースもあった。大百側は「『閉店しないで』という電話も数百本あった」と話す。2001年に入社し、これまで化粧品売り場で働いてきたマネージャー(39)は「人生で初めての職場であり、夫からプロポーズを受けたところ」「(売り場)オープン時は一番年下の店員だったが、マネージャーとして閉店を迎えることになった」と閉店を惜しんした。
大百は1944年にク・ボンフン名誉会長が創業した「大邱商会」からスタートした。そして1969年に現在の位置に大百本店がオープンした。当時は大邱で最も高い地下1階・地上10階建ての建物で、本店の周辺に商業地域が形成され、「東城路時代」を切り開いた。大邱市民が待ち合わせ場所を決める時は「大百で会おう」と言うほど象徴的な建物だった。
大百本店は大手デパートとの競争でも負けず、1973年に開店した新世界デパート大邱店が3年で撤退するほどだった。1993年には同市中区大鳳洞に「大百プラザ」をオープン。大百本店は2002年、単一の店舗で2700億ウォン(現在のレートで約265億円)を上回る売上を記録した。しかし翌年、ロッテデパート大邱店、2016年に新世界デパート大邱店ができて以降、売上が下り坂になり、昨年は売上が1000億ウォン(約98億円)を切っていた。大百側は「本店は売却・賃貸などを検討中だ」「今後、大百プラザの経営に専念する」と明らかにした。大百本店で最後の店長となったパク・ヒョジンさん(55)は「市民の思い出が詰まっている本店は閉店するが、大百プラザは命をかけて守る」と語った。