バッテリー業界がニッケルの割合を高めた「ハイニッケルバッテリー」の開発に集中する理由は、価格競争力と性能を高めるためだ。陽極材料はリチウムイオンバッテリーの容量と出力特性を決定する素材で、両極材料に占めるニッケルの割合を高めれば、バッテリーのエネルギー密度が上昇し、EVの走行距離を延ばすことができる。最近価格が急騰しているコバルトの割合を減らし、価格を抑えられる利点もある。ただ、ニッケルが多くなると、熱が増加し、爆発リスクが高まることが短所だ。このため、ニッケルの含有量を増やしながら、安全なバッテリーを作るには高度の技術力が求められる。
バッテリーが完成し、完成車に搭載された場合、実際の走行距離は最大性能を下回ることがあり得る。バッテリー業界関係者は「1回の充電で600キロメートル走ることができるといっても、完成車メーカーは事故防止のため、バッテリー充電の上限を80-90%に設定する可能性がある」と話した。
現代自動車が今年初めに発表したEV「アイオニック5」の場合、当初は最長走行距離が500キロメートルを超え、米テスラのモデルY(走行距離510キロメートル)と競合すると予想されたが、発売後に公表されたアイオニック5の最長走行距離は430キロメートルに抑えられた。バッテリー業界関係者は「コナ・エレクトリック(コナEV)の相次ぐ火災を受け、『安全マージン』を十分に取ったため、走行距離が短くなったとみられる」と述べた。