「訓練兵が言うことを聞かない」…韓国軍の助教たちも立ち上がった

 助教らのこうした不満は、このところ不正給食問題などで世論の批判を浴びた韓国軍指揮部が、解決策を模索する過程で「人権」を強調している状況と無関係ではない。南泳臣(ナム・ヨンシン)陸軍参謀総長は5月26日、訓練所を訪れて「人権尊重室」の開所式を主管した。韓国陸軍は訓練所での喫煙を認めるなど「人権改善案」も議論している。A氏は「訓練兵が今では、日課の時間に助教が生活館に入ってこようがくるまいが横になっている」とし「助教がいても声を張り上げ、ののしる訓練兵が大半」とつづった。かつては「恐怖の赤い軍帽」と呼ばれ、訓練兵の敬意の対象だった助教が、今では訓練兵の顔色をうかがうのに忙しいという指摘だ。

 韓国陸軍は、A氏の指摘のかなりの部分について事実として把握していることが分かった。一部の訓練兵が「こんなことなら通報する」というような対応をしていることに、助教は恥辱を感じているという。助教の間からは「『甲チル(優越的地位を利用した無理強い)』する客の相手をする感情労働者になった気分」という声も上がっている。訓練所の助教を務めて最近除隊したある予備役兵長は「訓練期間に苦楽を共にした助教と訓練兵が修了式の際に別れつつ涙を流していた光景も、今や昔」だとして「こんな形の『人権訓練』を受けた兵士たちが野戦に行ったら、軍文化全体が変わってしまいかねない」と語った。

 訓練所はこの日、公式見解を出して「助教の意見を集約し、労苦を激励した」とコメントした。しかし、韓国軍がこのところ不正給食やコロナ防疫「人権侵害」論争で「その場しのぎ」な対処をしているせいで、こういう形の「風船効果(一つの不具合を抑えるための規制が、別の副作用を誘発する現象)」が次々と出現している、という指摘がある。韓国軍関係者は「一線の中尉・少尉、中士(軍曹に相当)・下士(伍長〈ごちょう〉に相当)など下級幹部の業務疲労もまた極限に達している状況」だとし「論争が起こるたびに一時的な取り繕いの処方をするのではなく、調理兵・助教などさまざまな構成員の士気、軍全体の団結を考慮すべき」と語った。

■「世界の軍事力ランキング」米国1位、韓国6位、北朝鮮は?

ウォン・ソンウ記者
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  • ▲基本軍事訓練団で、行軍する訓練兵を引率する助教。/写真=韓国空軍

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