韓国の倉庫に積み上げられたEV車の廃バッテリー…リサイクル法規すらなかった

廃車の過程で出て来るバッテリー…5年後には累積10万個まで増える見込み

 EVには事務机並みの面積のバッテリーパックが入っている。バッテリーの寿命は10年ほどで、15万-20万キロ走ると容量が70%以下に落ち、走行距離も充電時間も短くなって自動車用としては寿命を迎える。だがESS(エネルギー貯蔵装置)やキャンプ用パワーバンク(携帯用バッテリー)、電気自転車や電気オートバイ、街灯のバッテリーなどとして再利用できる。性能がさらに落ちたり外部からの衝撃で破損したりした場合には分解し、輸入に依存しているリチウム、ニッケル、マンガン、銅、コバルトなど希少金属を抽出できる。

 こうしたリサイクル事業をしようと思ったら、リサイクルに関する法規が整備されなければならない。大林大学の金必洙(キム・ピルス)教授は「電気自動車のバッテリーは小型バッテリーよりはるかにサイズが大きく、重たい上、危険な物質を多量に含んでいる」とし「数百個のリチウム・イオン・セルで構成されており、高い電圧のせいで感電や火災、爆発の可能性が高く、小型バッテリーとは次元が異なるリサイクル基準が必要」と語った。

 環境部と産業通商資源部も2019年から、使用済みバッテリーの性能評価の方法や安全基準の整備のため研究を行っている。これと共に韓国政府は昨年末から現代自動車やLG化学、ヨンファ・テックなど5社に規制サンドボックス(一時的な規制猶予もしくは免除)を適用し、使用済みバッテリーでESSやキャンプ用バッテリーを作る事業の妥当性の実証を進めている。問題はスピードだ。バッテリー業界からは「廃バッテリーの評価方法や安全基準の整備は、これらの企業の実証特例が終わってから早くても2年後にならないとできない」という声が出ている。

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