「海外養子21万人超…私だけの話ではありません」

養子縁組問題を取り上げたドキュメンタリー映画『フォーゲット・ミー・ノット』のソンヒ・エンゲルストフ監督
1982年に生まれてすぐデンマークへ 「つらい思いをした母のことが分かるから憎んでいません」

 彼女の生物学的な母親は当時19歳のシングルマザーだった。女の子を出産した日に養子縁組同意書に署名した。エンゲルストフ監督が韓国の警察の助けを借りて見つけ出した母親は対面を一貫して拒否した。「撮影中はそれが最も痛みを伴う瞬間でした。母親に2回目の拒絶を受けたわけですから。私は彼女の秘密なのです(I'm her secret)。母親と私が共有している、私たちを永遠に一つに結び付ける悲しみが何なのか、分かりました」

 この映画の中で最も美しい瞬間は出産シーンだという。そうして産まれた赤ちゃんを残して養子に出す未婚の母がむせび泣く時、エンゲルストフ監督も一緒に泣いた。監督は「自発的に赤ちゃんを放棄する未婚の母は見ていない」と言った。

 養子縁組問題を取り上げたドキュメンタリー作品は、ルーツを探す個人的な叙事詩だったり、和解または新たな関係を結んだりして終わることが多い。だが、『フォーゲット・ミー・ノット』はそれを社会的な問題にまで広げたという点で特別だ。エンゲルストフ監督は「養子縁組の実態を調査してみると、私は海外に養子に出された21万人のうちの1人でした」と語った。

 「私のような養子縁組ストーリーは珍しいことではなく、よくあることでした。『Why me?』から『Why us(どうして私たちなの)?』と質問を変えなければなりませんでした。子どもが親や家族と引き離されるとトラウマ(心的外傷)になります。秘密にしておくのは良い方法ではありません。養子縁組問題について社会的に発言しなければならないという使命感を感じています」

 『フォーゲット・ミー・ノット』は6月3日に公開される。映画を見た母親がもし連絡してきたら、何を話したいか聞いてみた。すると、監督は「お母さんがどれだけつらかったか分かるよ。私はお母さんのこと憎んでいないよ」と言うと答えた。

朴敦圭(パク・トンギュ)記者

■子どもが住みやすい国8位は韓国、日本は?

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  • ▲養子縁組問題を取り上げたドキュメンタリー映画『フォーゲット・ミー・ノット(Forget Me Not)』を手がけたソンヒ・エンゲルストフ監督=デンマーク=が21日、養子縁組時の写真を手に登壇した。名前と生年月日が見える。写真=キム・ジホ記者

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