輸入の方が重要だとは? 同氏は「文化とは、高い所から低い所へと自然に流れるものではなく、低い所から命がけで血が出るほどの努力して高い所の文化を持ち込み、発展させたもの」と説明、鞘(さや)の中に木綿の種を隠して持ち帰った文益漸(ムン・イクジョム、元から木綿の種を持ち帰った朝鮮時代の文官)を思い起こさせた。そのように苦労して文化を輸入しなければならない理由は「文化は音楽鑑賞や詩の朗読を超えて、時代の危機を突破することができる新しい思想や学問・価値を意味するからだ」と説明した。
一般的に韓国固有の文化だと考えているものが、実際にはあまり「固有」ではないことも同氏は指摘した。「シャーマニズムはほかの所でも人類が無秩序を処理してきた方法の一つです。美術に見られる『無技巧の技巧』はかなり以前に唐で登場した概念です」。
伝統に対するこだわりは建築では韓屋に対する過度な賛辞に現れているがが、オンドル(床暖房)ボイラーを設置して、バルコニーや多用途室が庭や広場の役割をするマンションこそ、既に韓国的な文化だと見なすことができるということです。「朝鮮時代初期に沖縄の水牛を在来種の牛と交配させて今の韓牛になったように、どんな文化であれ、入ってきてから長い年月が経過すると、その国の文化として定着したとする可能性があります」。今や韓国文化の独自性を無理に見つけようという強迫から脱して、文化の輸入と質の向上の方に一層努力を傾けるべきだということだ。
同氏の名刺に書かれている肩書きは、意外にもキム・スンウ、キム・ナムジュ、イェ・ジウォンらが所属している芸能事務所「ザ・クィーン」の顧問だ。テレビの時事番組出演をきっかけに入ることになったというが、「主にやっているのは話し相手になること」と言った。そして、「原本用紙1500枚分の西洋哲学史執筆を来年から始める」と抱負を語った。
ユ・ソクジェ記者