中国共産党も直接介入した。共産党中央政法委員会は20日、「テスラは問題の原因を探し、改善しようとする十分な努力を怠った」と批判した。紀律検査委員会も「企業は傲慢になってはならない」とテスラを責め立てた。テスラは同日夜、「車の所有者の問題を適時に解決できなかった」と謝罪したが、批判世論は収まらなかった。共産党の指揮を受けた官営メディアもテスラたたきに加勢した。国営新華社通信は21日夜、「テスラの謝罪は真剣ではない」と副社長の解任まで要求した。このほか、問題の車両の所有者が住む河南省鄭州市の監督当局は国家市場監督管理総局の指示でテスラに事故前30分間の走行記録を所有者に提供するよう命じた。翌日テスラがデータを所有者ではなく、メディアに公開したことから、世論はますます悪化した。
中国で共産党が特定企業を名指しして公開批判すると、官営メディアが企業を攻撃する報道を浴びせ、国民が不買運動を展開するというのは典型的なパターンだ。実際に「多くの人がテスラの購入を取りやめた」といった報道が相次いだ。
テスラに対する中国の態度変化は3年前、テスラの初の海外工場を誘致した当時と比べると劇的だ。テスラは2018年、外国の自動車メーカーとしては初めて中国に全額出資の工場を設置する許可を取得した。中国の自動車メーカーと合弁せず、独自の工場建設を認めた破格の対応だった。テスラは税金の減免と低利融資まで受け、上海に工場を設置した。テスラは同工場でモデル3を生産し、昨年中国のEV市場でトップの14万7445台を販売した。中国はテスラの全世界での販売台数の30%を占め、米国に次ぐ主要市場となった。