外国でも、慣例上は子どもに父親の姓を付けるケースが多い。だが法的には、子どもに母親の姓を付けることもできるよう道を開いておく例が多く、選択権も次第に広がる傾向にある。
韓国女性政策研究院などによると、ドイツの民法は、両親が結婚した後、一方が姓を変えて同じ姓を使っている場合は子どもにもこの姓を付けると定めている。両親が違う姓を使っている場合、子どもの姓をどちらにするかは親が協議して決めればいい。もし協議がまとまらなかったら、夫婦の中でどちらが子どもの姓を決めるかを裁判所が指定する。もし父母のうち一方だけが子どもを育てているなら、子どもを育てている親の姓を付けることになる。
フランスも、父親と母親どちらの姓を付けるか、夫婦が決めることができる。父母双方の姓を合わせて使うようにもできる。順序も決まっていない。合意がまとまらなければ、担当の公務員が先に親子関係が成立した側の姓を付けるようにしたり、あるいは父母それぞれの姓をアルファベット順に結合した姓を使ったりする。なおドイツ・フランスいずれも、子どもは全員同じ姓を使うのが原則だ。第1子の姓を決めたら、第2子の姓も自動で決められる構造になっている。ただしこれとは別に、子ども本人が望むのであれば姓を変えることができる。ドイツの自動車会社ダイムラーでトラック・バス事業を総括してきたウォルフガング・ベルンハルト博士は、本人の姓を父親の姓から母親の姓(ベルンハルト)に変えたケースだ。