専門家らは、KF21の開発で韓国が望む時期に速やかに戦闘機を整備することができ、費用も大幅に減らせるようになったと指摘する。現在、韓国空軍の主力戦闘機であるKF16とF15Kはいずれも米国製で、修理パーツ確保の問題などで戦闘機の正常な稼働に支障が生じる例が少なくなかった。各種のミサイルや爆弾など、韓国製の武装を韓国側の思い通りに搭載できるという点も長所に挙げられる。
さらにKF21には、北朝鮮の核ミサイルの脅威や中・ロ・日など周辺大国の軍事的脅威に対応できる韓国製「毒針兵器」が搭載される予定だ。国防科学研究所などが既に開発中か、もしくは今後開発する「毒針兵器」としては、超音速巡航ミサイル、極超音速ミサイル、長距離空対地ミサイル、そしてブーストフェイズ要撃ミサイルなどが挙げられる。韓国製超音速巡航ミサイルは、有事の際KF21から発射され、中国の空母や水上艦艇などを撃沈できる兵器だ。極超音速ミサイルはマッハ5以上の超高速で飛行し、ソウルから平壌上空までわずか1分15秒で到達できる。
だが、越えるべき山もまだ残っている。来年から2026年まで、およそ2000回の飛行試験に成功しなければならない。KF21の開発費用のうち20%に当たる1兆7338億ウォン(約1697億円)を2026年までに負担することになっているインドネシアが、現在までのところ2272億ウォン(約222億円)しか納付していない点も悩ましい。韓国軍の消息筋は「KF21に否定的といわれていたプラボウォ国防相が、今回の訪韓で『私の名を懸けて成功させたい』と言及したそうだ」とし、「インドネシア問題は大きな峠を越えたと思う」と語った。
輸出のための価格競争力を確保することも宿題だ。KF21は800億ウォン(約78億円)未満の価格になるといわれている。第5世代ステルス機のF35の価格が1機900億ウォン(約88億円)台に下がったことも、KF21の価格競争力を脅かしている要素の一つだ。