だが、イランとの交渉の可能性を示唆したバイデン政権が今年1月に発足したことでムードが変わった。イランは今月6日から米国をはじめとする核合意当事国と核合意復活のための本格的な交渉に乗り出した。外信によると、米国は交渉で、イランが核兵器を作るための前段階とされる濃度20%のウラン濃縮を中止する見返りに、10億ドル規模の凍結資産解除をイラン代表団に提案したとのことだ。現実的に見て、10億ドルというイランの資金を解除できるのは韓国がほぼ唯一だという。交渉が進行中の状況で、イランも韓国船舶を抑留し続けることに負担を感じた可能性が高い。
この過程で、韓国も米国の制裁下で許可されているイランとの人道的交易を拡大、凍結資金でイランの国際機関分担金を支払う案を米国と協議してきた。イランは1600万ドルに達する国連分担金未納で投票権が停止されているが、これを韓国に立て替えるよう要求してきた。韓国外交部当局者は「国連分担金納付は近々あると見られる」「昨年4月にイランとの人道的交易が再開されて以降、これまでに約3000万ドル(約33億円)の医療機器が輸出され、増え続けている」と語った。
韓国側はイランを説得するために高官級使節団の派遣も約束した。韓国首相室は同日、丁世均(チョン・セギュン)首相が11日から13日までイランを訪問することを明らかにした。韓国の首相のイラン訪問は44年ぶりだ。これについて、韓国政府関係者は「イラン側の気が変わる可能性がある状況なので、抑留船舶の解放前に首相が先にイランに行くことはできなかった」と説明した。