現地を訪れると、宋元副市長が保有していた土地一帯は畑と空き地が大部分だった。土地周辺には片側1車線の道路2本を挟み、11棟から成るマンション団地があった。今後建設される片側2車線の道路は問題の土地のすぐ脇を通る。
周辺住民と不動産仲介業者によると、マンションが建設された土地には、宋元副市長が土地を購入した当時にも梨畑が多かったという。不動産仲介業者は「農業従事者が大半の敷地のそばに知人4人が共同で土地を購入したことからみて、開発情報を事前に知っていた可能性が高い。宋元副市長の土地は(道路に面していない)袋地だが、道路建設計画が発表されたことで価格が少なくとも3-4倍に上昇したはずだ」と指摘した。
15年に交通建設局長を退任した宋元副市長は、18年に経済副市長として復帰した。蔚山市は宋元副市長の復帰から約10カ月後の19年6月、問題の土地のすぐ脇に当たる場所に片道2車線の道路を整備する事業に特別調整交付金20億ウォンを交付した。事業費が他の目的に転用されないように万全を期すようにという条件も付けたという。当時蔚山市北区庁は市に8件の事業で特別調整交付金を申請したが、市側は問題の道路建設を含む2件だけに交付金を配分した。
宋元副市長による土地投機について、蔚山市庁内部と地元政界からは、「地方首長のへそくり」と呼ばれる特別調整交付金で予算を遠回しに編成したのではないかとする指摘が聞かれる。蔚山市幹部は「市は事業に妥当性があれば、事業費を直接編成できるが、そうすれば、宋元副市長が自分の土地の近隣に道路を建設したという批判にまともにさらされる。それを避けるため、交付金の方式を使った疑いが十分にある」と話した。
宋元副市長夫妻と共に土地を購入したK氏夫妻は「当時マンション住まいだった宋元副市長夫妻と別の近隣住民1人を自分が誘い、土地を購入したものだ」と語った。