動画投稿・供給サイト「ユーチューブ」や放送局の番組、ゲームなどで韓国文化が「中国産」に化けるたび、国民は反発してきた。中国の有名ユーチューバーが「韓服は中国の伝統的な衣服『漢服』の影響を受けた」と主張すると、韓国人が電子メールやネット上の書き込みで集団抗議を展開したほか、先月中国のモバイルゲームで韓服が中国の伝統的な服飾と紹介されると、男性アイドルグループBTS(防弾少年団)は米ファッション誌のインタビューで、「大韓民国の服・韓服が一番好き」と発言、韓国のファンたちの歓声を浴びた。
公正であることに敏感なMZ世代(1981-2000年代初め生まれ)はネット上のコミュニティー・サイトや放送通信審議委員会、青瓦台の国民請願など複数の窓口を通じて、『朝鮮退魔師』問題を提起した。大衆文化評論家のキム・ソンス氏は「20-30代の積極的な行動力と意思表明に40-50代が同調していっそう波及力が強まった」と話す。
限韓令や新型コロナ問題などで見せた中国の言動に嫌気がさしていた既成世代が、若い世代主導の反中キャンペーンを支持し、消費者運動が力を得たとの見方もある。延世大学心理学科のイ・ドングィ教授は「力の論理を掲げる中国の姿には我慢の限界を超えた」「自国中心主義が国際的に広まっている中、韓国の国民たちも実力行使に出たものと見られる」と語った。
グローバル化時代に民族主義を前面に押し出す盲目的な反中・嫌中には用心すべきだという指摘もある。K-POPや韓国のゲーム、韓流ドラマが世界で称賛され、韓国のエンターテインメント企業には中国をはじめとする多国籍資本投資が増えている状況にある。中国の情報技術(IT)会社「テンセント」は、「ネットマーブル」など韓国の大手ゲーム製造会社の主要株主であり、YGエンターテインメントなどエンタメ企業にとって大切な投資家だ。大衆文化評論家のハ・ジェグン氏は「規模が膨らんだドラマ制作費を回収するには、PPLをはじめ海外からの投資を受けるしかない」と、全北大学社会学科のソル・ドンフン教授は「誤った中国の主張を事実通り正す努力とは別に、感情を前面に出して中国を非難すれば、逆風にあうかもしれない」と語った。