米国だけではない。つい先日国連の北朝鮮人権報告官は「文在寅政権は北朝鮮と交渉を行う際、人権問題も同時に取り扱うべきだ」と公の席で勧告した。5年連続で漂流中の北朝鮮人権財団の設立などにも言及し「北朝鮮人権法をしっかりと施行せよ」とも指摘された。昨年国連難民高等弁務官事務所は「脱北民の強制北送」をはじめとする北朝鮮の人権問題に対する文在寅政権の対応について3回も懸念を表明した。北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長の下命に従い制定した「対北ビラ禁止法」はかつての旧共産国からも批判を受けている。それでも元大統領安保特別補佐官は「人権問題が台頭すれば、北朝鮮との交渉が破綻するかもしれない」と発言した。彼らにとって「人間としての最低限の権利」は「韓国における政治運動の手段」にすぎなかったのだ。
文在寅大統領はブリンケン国務長官の面前でミャンマー軍による人権弾圧を批判した。しかし金正恩氏の奴隷とも言える北朝鮮住民の人権については一言も語らなかった。ミャンマーに劣らず苦痛を受けている中国の新疆ウイグル自治区やチベットの人権問題にも沈黙した。香港で行われている人権じゅうりんに対しても何も語らなかった。人権問題さえネロナムブル(自分がやればロマンス、他人がやれば不倫)だ。それでも韓国政府は国連人権理事会で「北朝鮮住民の人権向上のために努力した」と主張した。詭弁(きべん)とはこのようなことを指す言葉だ。