防疫の過程で最も重要なのは、情報を正確かつ透明に伝える作業だ。国民の混乱を減らし、感染拡大を遮断する「最初のボタン」だ。こうした点で、韓国の防疫当局は依然として未熟な面をあらわにしている。初期のころの入国遮断から最近のワクチン供給の件に至るまで山場になるたび、何かすっきりと国民の胸のつかえを取ることができずにいる。ワクチン供給の遅れに対する批判を受けたとき、韓国当局は「接種を先に始めた国々で発生する問題を1-2カ月、先に観察することができて幸い」と言っていたが、今になってみると「他山の石」とすら呼べないという感を拭い切れない。
疾病管理庁が、韓国国内で発生したアストラゼネカ社ワクチンの死亡者から「血栓の所見」が出た事実を隠そうとしていた状況も露見した。3月6日に死亡した60代女性の解剖の過程で血栓が出てきたのに、こうした事実を知りながら5日以上も「血栓関連の事例はない」と隠してきた。国民の懸念や心配を大きくしようというのではない。透明に情報を伝え、血栓の懸念は杞憂(きゆう)であってアストラゼネカ社のワクチンを打ってもいいと、国民向けの説得を積極的にするべきという意味だ。4月から一般人の接種が始まり、誰かの夫や妻、父、母がアストラゼネカのワクチンを打たれる。それなのに防疫当局が自信を持って物を言えずに隠していたら、誰が安心してワクチン接種を受けるだろうか。
金成謨(キム・ソンモ)記者