【寄稿】韓国が「クアッド」に参加すべき四つの理由

韓米同盟を補強し、米国の対中戦略の過熱も和らげる
発足の初期段階から韓国の立場を反映し、中国を動かす「てこ」を確保
中国の報復・反発を恐れて屈従・隷属を選んではならない

 第三に、米国が中国との戦略的競争で中国の力と脅威を過大評価して過剰対応することをけん制する上でも、クアッドは役に立つ。クアッドに参加する域内諸国は、中国をけん制する上では利害関係が一致しつつも、米中間の戦略的競争が過熱して万一の場合に軍事的対決や衝突へと飛び火する危険性を懸念しており、米国の無理な対中政策に引っ張られることも望んでいない。そういう点で、韓国のクアッド参加は日本・オーストラリア・インドと共に米国の対中戦略を適切に和らげ、重心をつかむことに寄与できる。

 最後に、クアッド参加は中国に対するレバレッジ(てこの作用)を強化する。国際関係において希望する目標を達成する上で、相手方の善意を確保するよりも重要なのは、相手方を動かすレバレッジを確保することだ。安全保障の利害関係が構造的に対立している中国に対する韓国のレバレッジは、中国が望んでいることを拒否できる能力に比例し、安全保障の利害関係を共有する国と協調する際に一段と大きくなる。中国の各個撃破戦略に個別の国が単独で対抗するのは困難だが、一国に対する経済報復を全てのクアッド参加国に対する報復と見なして共同対応すれば、勝算はある。

 レバレッジの放棄は、屈従を招くものだ。中国の反発と報復が怖くて屈従と隷属を選ぶのではなく、クアッドのレベルで共同対応する体制を備えなければならない。自主独立と自存は、ただで得られるものではない。韓国は、新たなインド・太平洋の安全保障秩序を形成する主体になるのか、力が支配する地政学的ゲームに運命をゆだねる客体へと転落するのかを選択すべき「真実の瞬間」を迎えている。文在寅(ムン・ジェイン)政権の戦略的眼目と外交力は、厳しい試験台に立っている。

千英宇(チョン・ヨンウ)韓半島未来フォーラム理事長

■「アジア・パワー指数」1位は米国、韓国7位…日本は?

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