昨年4月にはシェフのイ・ウォンイル氏の婚約者でフリーランスプロデューサーのキム・ユジンさんがある芸能番組に出演し、顔が知られるようになると、「私は12年前に(キムさんから)集団で暴力を受けた被害者だ」と名乗る人物の書き込みが広まった。直後にキムさんは謝罪文を公開したが、その後「悔しい」という趣旨の書き込みを残して自殺未遂事件を起こした。慶煕大学社会学科のキム・ジュンベク教授は「被害者が過去の被害を今からでも話せるようになったのは良いことだが、過去の出来事なのでほとんどの場合証拠がない。そのため事実関係の検証が難しく、いわれのない被害者が出る恐れもある」「芸能人や有名スポーツ選手の永久追放や出演・出場禁止など、過去の過ちが現在と未来にいつまでも影響を及ぼすことは、問題の行為に比べてその制裁が行き過ぎている」と指摘する。
虚偽の暴露は警戒すべきだが、被害者による「校内暴力ミートゥー」まで萎縮させてはならないとの指摘も相次いでいる。高麗大学社会学科のキム・ユンテ教授は「誰でもアクセスできるオンライン空間を通じて問題が広く知られるようになった場合、その特性から考えると、虚偽の事実によるいわれのない被害者が出る可能性には確かに注意すべきだ」としながらも「大衆の関心と愛情を受けている有名人の場合、より高い道徳的な基準が求められることは避けられず、また過去のミートゥー運動のように長い間何も話せなかった被害者に発言の機会を与える必要もあるだろう」と指摘する。弁護士法人ユイルのイ・ホジン弁護士は「虚偽の内容を公開した場合はサイバー名誉毀損罪に相当するが、暴露の公益性が認められれば、情報通信網法上の名誉毀損罪に当たらない可能性が高い」と説明した。