韓国政府が「韓国版ニューディール」政策を推進しているが、過去の政権が推進してきたグリーン成長や創造経済などと同じ轍(てつ)を踏みかねないとする懸念も大きい。政府・与党が力を合わせ、起業しやすい国をつくるのではなく、公正経済3法で革新に対する投資を阻害しているとの指摘もある。
ポストコロナの時代を先導する国へと飛躍する成長エンジンが見えないまま、革新動力は徐々に弱まり、規制だけが強化されている。韓国経済研究院は「政府の反市場的、反企業的政策基調の修正と共に、規制改革で足りない点が補完されなければ、産業政策の効果を期待することはできない」と指摘した。
莫大な財政支出を投入し、経済を再生するという「韓国版ニューディール」はどんな方向へと流れるのか即断できない。しかし、政府が未来産業に対する関心と育成の意志を持つべき時期に短期的な成果にばかり執着しているという批判は心に刻む必要がある。
世界各国は未来の収入源を確保するため、国運を懸け、企業育成とライバル国のけん制に取り組んでいる。しかし、反企業ムードが色濃い大韓民国で未来の食い扶持の発掘に孤軍奮闘しているのは企業だけだ。政府も大規模予算を投入する場当たり式政策を乱発するのではなく、未来に子孫たちが何で食べていくのかを考えるべきだ。「半導体を作って、豊かに暮せばいい」という安易な認識では決して明るい未来は保障できないからだ。
ソル・ソンイン記者