これまで財界では李副会長が執行猶予付きの判決を受けるとの見方が優勢だった。政治と企業が明らかな上下関係にある韓国の現実からみて、大統領の要求を拒否することは企業経営者にとって現実的に不可能だからだ。また、李副会長は既に一度収監されており、裁判所の要求を全て受け入れている。匿名の財界関係者は「裁判所が商法にも会社定款にもない『遵法監視委員会』というおかしな制度をつくれというのでつくったところ、結局実刑を言い渡された。最後まで世論をうかがい、あいまいな判決を下した」と語った。
財界からはコロナを克服し、景気回復を図るためには、サムスンの役割がいつになく大きく、そんな時期のトップ不在を惜しむ声がある。昨年ロボットメーカーのボストン・ダイナミクスを買収した現代自動車、インテルのNAND型フラッシュメモリー事業を買収したSK、世界3位の自動車部品メーカー、マグナと電気自動車(EV)合弁会社を設立したLGグループとは異なり、サムスンは最近5年間、大規模な合併・買収を行っていない。サムスン電子が半導体で他のメーカーに格差をつけるため、世界的企業を合併・買収するという見方があったが、当面は実現が難しいとみられる。