【コラム】選出された権力の「民主独裁」

 よその国の話とばかり言っていられるだろうか。先の総選挙で180議席という絶対多数を得た韓国与党「共に民主党」は、多数の暴走をためらう気配がない。自分たちが行った約束を覆して野党の拒否権を剥奪する高位公職者犯罪捜査処法改正案を処理し、「表現の自由の侵害」という批判がある対北ビラ禁止法を強行して国際社会の懸念を買っている。野党のフィリバスターは数の優位を押し出して強制終了させてしまった。与党からは「180議席の力を見せてやった」との自己評価が出てきた。検察総長を追い出そうとして裁判所から制止されると、「司法クーデター」うんぬんと言った。検察総長の弾劾まで論じ、検察の捜査権をなくしたいという。列挙するのも大変なほどだ。

 ハーバード大学のスティーブン・レビツキー教授は、著書『民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道』で、選出された権力によって民主主義が合法的に覆されることを警告した。その上で、民主主義を守る中心的な規範として、成文化された規範よりも「相互寛容」と「制度的自制」を挙げた。相互寛容とは、競争者を尊重し、異なる意見を認めることだ。制度的自制とは、政権勢力が権力行使に慎重になるすべを知ることだ。多数を掲げて力でのみ押し付けたら、もっと大きな主権者の力が船をひっくり返してしまいかねない。

■世界競争力ランキング1位はシンガポール、韓国23位、日本は?

チョン・ノクヨン記者
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