一方、企業の成長潜在力をそぐ配当は天文学的に増えている。サムスン電子の過去3年間の配当は約29兆ウォンで、昨年全国の世帯に最大100万ウォンを支給した政府の災難支援金の2倍に達する。国内で絶えず攻撃を受けている状況で、サムスン電子の株式の半数以上を保有する海外投資家の配当要求を無視することができないからだ。企業ハンターにとっては、自国で歓迎されず、潤沢な資金があるサムスン電子ほど格好の標的はないはずだ。海外の投資家の間では、サムスン電子を分割し、米ナスダックに上場すべきだという声も上がっている。
サムスンが崔順実(チェ・スンシル)氏による国政介入事件に関与したことも根本的には支配構造改善の過程で起きた惨事だ。サムスンが支配構造を単純化するため、系列企業を再編する過程にも、小学生が宿題のチェックを受けるようにいちいち政府の許しが必要で、政治権力はサムスンの経営権を奪おうとばかりに事あるごとに介入した。こうした現実にあって、誰が大統領の要求に逆らうことができようか。士農工商の国で政治権力の一言のせいで破滅に追い込まれた例は枚挙にいとまがない。
ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクのような実業家が韓国で生まれていれば、今のようなアマゾンやテスラは存在できただろうか。不倫男のジェブ・ベゾスには法人税を払うのを惜しみ、アマゾンの利益をわざと減らした疑惑が浮上。社会性不足に薬物依存症も患うイーロン・マスクは株価操作、粉飾決算などの物議が絶えない。しかし、米国人は2人の小さな過ちよりも彼らが成し遂げた成果と未来に喜んで拍手を送る。ジェフ・ベゾスやイーロン・マスクならば、韓国で起業するぐらいなら、むしろ宇宙船で火星に行って事業をやると言いそうだ。