■支持率回復のため「強攻」の可能性も
最近、両国の指導者の支持率が下降局面に入っていることも、関係改善をいっそう困難にする要因になり得る。韓日の歴史問題は国民感情が鋭くぶつかり合う事案だ。このため、両国政府とも「妥協」よりも「強攻」の方が国内政治的に助けとなる場合が多い。このところ文在寅政権の国政遂行支持率は過去最低水準まで下がっており、菅政権も新型コロナウイルス対応の失敗などで発足3カ月にして支持率が30ポイントも急落、辞任の見通しまで取りざたされている。ソウル大学のパク・チョルヒ教授は「両国の政権が国民の不満を外に向けようとして、韓日関係に関して強硬な姿勢に出る可能性も排除できない」と言った。
■今後の手続きはどうなる?
日本政府は今回の判決について「控訴も拒否する」としている。韓国の裁判所の判決自体を認めないということだ。控訴をしなければ、一審判決がそのまま確定する。この場合、訴訟で勝った慰安婦被害者たちは韓国国内の日本政府の資産に対する差し押さえ申請をすることになる。いわゆる「強制執行」が始まるということだ。
しかし、日本側が裁判所の「強制執行」推進に抗告などの方法で異議を唱えれば、実際に賠償金を受け取るまで何年もかかることもある。また、今回の慰安婦訴訟の差し押さえ対象は日本企業ではなく、日本政府の資産なので、差し押さえがいっそう困難だとの見方も出ている。ある国際法の専門家は「外交関係に関するウイーン条約第22条第2項には『各国政府は外国公館の安寧の妨害を防止するための責務を有する』という内容が書かれている。日本の資産差し押さえのうち、相当数が『日本公館の安寧の妨害』と解釈される余地もある」と言った。共同通信は「(韓国が)日本政府の資産の差し押さえに出れば、日本の報復措置は避けられないだろう」と報道している。