しかし今回の電力不足については「発電用石炭の不足が原因」との見方も出ている。中国は電力の70%を石炭や天然ガスなどによる火力発電に依存しているが、中国産の石炭は価格が高いだけでなく質も悪いため、発電用の石炭は海外に依存している。2019年の1年間に中国は2億6500万トンの石炭を輸入したが、うちインドネシア産が53%、オーストラリア産が28%を占めていた。
香港紙の明報は「中国は昨年からオーストラリア産石炭の輸入を減らし、最近は完全に輸入を中断したため、中国国内で発電用石炭の需給に問題が生じた」と分析している。オーストラリアは「中国からのコロナ発源説について調査を行うべきだ」と主張しており、米国が主導する地域安保協力体「クアッド(米国、日本、インド、オーストラリア)」にも参加している。これに対して中国が牛肉、麦、ワインなどオーストラリアの主要な輸出品に対して輸入を制限、あるいは高い関税をかけたため、両国関係は最悪の状態になっている。
中国人民大学国際エネルギー戦略研究センターの許勤華・主任は紅星新聞の取材に「石炭供給は港湾など大規模インフラが必要になるため、突然の(需要・供給の)変化に対応するのは難しい」「中国とオーストラリアの関係が石炭市場に影響を及ぼした」と指摘した。中国国家発展改革委員会は今月12日、10大発電企業と座談会を開催し、発電所などに対し「オーストラリア産以外の石炭輸入拡大」を指示した。