文在寅(ムン・ジェイン)大統領は15日、閣議で「公捜処(高位公職者犯罪捜査処)は検察に対する民主的統制手段であり、意味が大きい」と述べた上で、「検察はこれまで不可能なことはない権限を持ちながら、自らの過ちには責任を負わず、責任を問う方法もない聖域になっているとする国民の批判を受けてきた」と指摘した。公捜処法、警察法、国家情報院法のいわゆる「権力機関改編3法」の公布を議決し、検察に向かって行った意図的な発言だ。
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しかし、文大統領は与党が先に約束していた野党の公捜処長任命拒否権を無力化する公捜処法改正案を一方的に処理したことには一言も触れなかった。野党は「大統領が政権の親衛隊、公捜処の誕生を祝ったものだ」と反発した。
文大統領は「2002年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領候補は公捜処(設置)を重要公約に掲げ、当選後に立法を推進した」と述べたほか、「自分は前回大統領選だけでなく、12年の大統領選でも公捜処(設置)を公約した。当時に公捜処が設置されていれば、朴槿恵(パク・クンヘ)政権の国政介入はなかったかもしれない」と続けた。公捜処発足の意義を強調し、朴槿恵前大統領の国政介入にも言及した格好だ。そして、「公捜処が独裁の手段になり得る」という野党の主張については、「政権の権力型不正を正すための刀を設けたもので、なぜ独裁と結び付けられるのか常識的に理解できない」と述べた。また、「公捜処は何よりも政治的中立が命だ」とし、「検察からの独立と中立を守ることも重要だ」とも語った。
しかし、野党の公捜処長拒否権をなくしておいて、文大統領が公捜処の政治的中立性を掲げるのは矛盾だとする指摘が野党から出ている。国民の力のユン・ヒソク広報は「法律まで改正し、公捜処長まで政権の思い通りに指名しようとしながら、公捜処の政治的中立に言及するのは自家撞着(どうちゃく)だ」と述べた。正義党の張恵英(チャン・ヘヨン)議員も「(公捜処は)既に独立性と中立性を喪失した状態で発足するので、終わりなき政争の材料になるだろう」と話した。
これに関連し、青瓦台幹部はハンギョレ新聞のコラムを引用し、「公捜処法改正案は一部分が全体を傷つけるほど趣旨と設計に問題があるとは思わない」と述べた。与党の公捜処法改正案強行処理に問題があるという趣旨だった。