大韓航空を中核とする韓進グループがアシアナ航空を買収すれば、格安航空会社(LCC)市場の勢力図が様変わりする見通しだ。韓進グループ系列のLCCであるジンエアーと、アシアナ航空の子会社であるエアプサンとエアソウルが段階的に統合されれば、現在LCC業界1位のチェジュ航空を超える「メガLCC」が誕生することになる。
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韓進グループの趙源泰チョ・ウォンテ会長は18日、ソウル・汝矣島の全国経済人連合会会館で取材陣に対し、韓進グループとアシアナ航空のLCC運営案について「路線と事業を拡大すれば、重複する全ての人材を活用できると考える」として「(新たな事業)チャンスが多いだろう」と述べた。LCC3社を単純に統合するだけでなく、全ての人材を活用できるほど事業を拡大していくという意味だ。
追い詰められたのはチェジュ航空やティーウェイ航空など他のLCC各社だ。これまで韓国のLCC各社は国内線と国際線の中・短距離市場で激しい低価格競争を繰り広げてきた。最近では新型コロナウイルス感染拡大の余波で国際線の旅客需要が大きく落ち込んだため、超格安で国内線の航空券を市場に放出する「チキンゲーム」を展開した。先月には金浦-済州の片道航空券の価格が6000ウォン(約560円)まで値下がりした。
こうした状況で超大型LCCが誕生すれば、航空会社間の格差はさらに広がる見通しだ。国土交通部(省に相当)の航空安全管理システム(ATIS)の同日現在の情報によると、ジンエアー(28機)とエアプサン(25機)、エアソウル(7機)が統合すれば、航空機の全保有台数は60機に増える。売上高も昨年基準で約1兆7768億ウォン(約1670億円)に拡大する。規模では北東アジアで最大、アジア全体ではエアアジアの次に大きいLCCとなる。
現在、韓国のLCC業界で1位のチェジュ航空の航空機保有数は44機だ。昨年基準の売上高は1兆3840億ウォン(約1300億円)。業界2位のティーウェイ航空の保有数は27機、売上高は8106億ウォン(約760億円)で、新たに誕生することになるLCCには及ばない。チェジュ航空のキム・イベ社長は前日「超大型LCCが登場したら今後どのように対応するのか」との質問に「(合併の事実に)我々も非常に驚いた」としながらも「まだ内部的に立場を整理していない」と明言を避けた。
新たに誕生する超大型LCCは、規模の経済の論理で市場シェアを高めていくと予想される。航空大経営学科のホ・ヒヨン教授は「既に随分前から世界の航空業界のトレンドは会社の規模拡大だった」として「規模を拡大した航空会社は、航空機運航頻度を高めるほど単価が下がり、搭乗率を上げることができ、航空会社同士で人材や機材を共有すれば経費削減効果も得られる」と指摘した。
実際にLCC業界の再編は予想されていたことだった。大韓航空とアシアナ航空の統合によってその時期が早まっただけというのが専門家らの分析だ。航空業界の幹部関係者は「韓国の市場規模に比してLCCが多いのは事実」だとして「内部的にいつかはLCCが統合されると予想していたし、コロナ禍によって時期が少し早まっただけ」と述べた。