【コラム】精神的越北者たちが「犠牲になった公務員は越北者」と罵倒

越北ではなく誤って海に落ちたか
あるいはそれ以外の理由であれば
その恨みをどうすればよいのか
韓国で得るものを全て得ている
精神的越北者たちよ
この質問に一度答えてほしい

 北朝鮮を擁護するだけではない。彼らは今や中国共産党まで擁護している。「中国共産党が金日成と共謀して6・25南侵を引き起こした」という明確な事実さえ彼らははっきりと語らず、しかも「三不」によって中国に安全保障の主権まで差し出した。政治的な利益の計算に基づく行動ではなく、「相手と同じ側」と考える「同質感」がその根底にある。そのためオリンピックでは太極旗(韓国の国旗)ではなく韓半島旗を掲げることに何の違和感も抵抗感もない。政権関係者が脱北者を「裏切り者」と非難するのは彼らの本心だ。彼らにとって韓国の野党はライバルではなく敵であり、脱北者は脱出してきた帰順者ではなく「自分たちの側」に背を向けたまさに「裏切り者」なのだ。

 精神的越北者の本心はこうだ。「米国さえいなければ6・25によって統一できた」「北朝鮮が貧しいのは体制が原因ではなく米国のせいだ」「三代世襲は避けられない」「北朝鮮は貧しくても健康で、韓国は豊かでも腐っている」「北朝鮮体制では自由や人権は必要ない」「北朝鮮の核は米国からの攻撃を防ぐための防御用だ」「北朝鮮が韓国に核を打ち込むはずがない」「北朝鮮の核は認めざるを得ない」「南北が手を握って韓国の保守を亡きものにしなければならない」などだ。他の誰でもない彼ら自らが、犠牲になった政府職員を「越北者」と非難する様子を見ながら何かしら違和感を持ってしまう。自分たちの精神的越北は義なる統一闘争であり、肉体による越北は銃殺され遺体が燃やされても仕方がないということか。

 この世でさまよう孤独な魂があるとすれば、犠牲になった政府職員もおそらくそうなっているだろう。数十発の銃弾を受け、遺体が焼却され、しかも自分の国の政府から激しく罵倒されている。もし彼が越北ではなく足を踏み外して海に落ちたとか、何か他の理由で北朝鮮にまで流されたのであれば、その恨みをどうやって解けるだろうか。遺族の悔しさ、怒りはどうすればよいのか。誰が責任を持つのか。韓国の地で手にするものを全て手にした精神的脱北者たちはこの質問に答えてほしい。

楊相勲(ヤン・サンフン)主筆

■「国別腐敗認識指数」韓国39位、北朝鮮172位、日本は?

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