そうした懸念があるため、青瓦台による捜査指揮権発動要請を法務部長官が拒否したケースもある。2002年に当時の宋正鎬(ソン・ジョンホ)長官は金大中(キム・デジュン)大統領の息子を在宅のままで捜査するよう指揮権の発動を求めた青瓦台の要請を拒否した。検事長経験者は「捜査指揮権条項は本来ドイツでナチスの蛮行などを選出職の閣僚がやめさせるという意味で設けられたものだ。しかし、元祖ドイツでも発動されたことはなく、韓国の関連法もできるだけ使うなという趣旨でつくられたものだ」と述べた。部長検事出身の弁護士は「ライム関連の捜査が与党を狙い始めたことで捜査指揮権の発動にまでつながった。事実上政権と与党に対する捜査を完全に封鎖しようとするものだ。破廉恥だ」と話した。
秋長官が尹総長の家族と側近に対しても捜査指揮権を発動したことについては、尹総長に恥をかかせる狙い、標的捜査ではないかという批判がある。総長一族の捜査は李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長が担当している。ある検察関係者は「秋長官の就任後、4回にわたる人事で、ソウル中央地検でどんな捜査結果が出るかは自明だ。現政権のほぼ唯一の邪魔である尹総長を引きずり下ろそうとするものだ」と指摘した。