韓国外交部(省に相当)は最近まで、この問題について「韓国政府が関与するのは望ましくない」として事態を傍観していた。だがこの問題が外交問題に飛び火し、世論が悪化したことを受け、遅まきながら事態収拾に乗り出した格好だ。とりわけ今回の事態との関連で、現地公館の役割が何もなかったのが手痛いという指摘がある。外交消息筋は「赴任して3年になる鄭範九(チョン・ボムグ)駐独大使は任期をほぼ終えて交代を控えているらしい」とし「公館長の交代期にデリケートな外交懸案が持ち上がり、きちんと対応できずにいる状況」と語った。鄭大使は外交官ではなく政治家出身だ。
与党側からも外交当局の消極的対応を叱る声が上がった。12日にテレビ会議形式で行われた駐米韓国大使館の国政監査では、国会外交統一委員会所属の与党議員らが「日本は政府が乗り出してロビー・工作活動を行っているのだから、韓国外交部も努力すべきではないのか」と指摘した。与党「共に民主党」のキム・ヨンホ議員は、2016年にワシントンに到着した少女像が計画とは異なり倉庫におよそ3年間放置され、後になって設置された事例に触れつつ「(韓国政府は)このような情報を把握しているか」とも発言した。李秀赫(イ・スヒョク)駐米大使は「(少女像問題は)外交的紛争が起こりかねず、駐在国公館が直接介入はしていない」とし「このような問題は大使館レベルの決定ではなく、外交部で決定して方針を示すもの」と答えた。発言が問題になると、李大使は国政監査の後半で「われわれも政府レベルで積極対応する案を講究する」と語った。
韓国政府が遅まきながら事態収拾に乗り出したが、少女像が撤去されるのは法的手続きなどを考慮すると避け難いという見方が持ち上がっている。ただし、現地当局は「第2次大戦当時、日本軍がアジア地域で女性を強制的に連行して性搾取を行った」という碑文の文言を問題にしているので、内容を修正すれば維持が可能という法律的解釈も出ている。