1996年に続き99年、そして今年と大きな浸水被害に遭った住民のチュ・ジョンヒさん(74)は「二吉里の住民は40年の苦痛を、ひたすら国のためのことと考えて耐えてきた」とし「しかし国は私たちを、必要とするときに使い捨てする道具としか思っていないらしい」とと語った。チュさんは「首相や大統領夫人、どちらも浸水で大変な思いをしている住民の日常をリアルに見ておきながら、こうして目を背けていることに驚いた」「一体誰のための政府なのか分からない」と批判した。
しかも、二吉里の浸水被害は今回が初めてではない。96年と99年にも、氾濫した漢灘江の水が集落を襲い、住民らはなんとか命だけは助かった。住民らはこの日、集会で「25年間、大雨が降りさえすれば洪水の被害。これ以上我慢できない」として、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に集団移住対策の整備を訴えた。また、声明を通して「今夏の梅雨で村全体が水に浸かり、水害復旧をするためつらい日々を過ごしている」としつつ「水害の翌日、村の広場で数発の地雷が発見されるなど、住民の安全は依然として大きな脅威を受けている状況」と伝えた。
住民らは「敷地を用意して家を新たに建てるのに、少なくとも2億ウォン(約1800万円)近い費用がかかる」とし「村の住民の大多数は高齢で、追加の支援なしに集団移住は不可能。政府の支援が切に必要」と主張した。二吉里のキム・ジョンヨン里長(54)は「村の外で黄色く実ったイネは、地雷の危険があるので収穫しようという気も起きない」とし「対北宣伝に人生を利用された住民のため、体系的な移住対策が必要」と語った。