次に、書類中心で行われる現場の安全監督を現場中心に転換していくため、規制期間の人材を確保しなければならない。今回の利川の事故現場では施工業者が書類上の約束とは異なり、下請け業者を管理し、日常の安全守則を守っていなかった。下請け業者が違法な孫請けを発注し、受注業者が安全管理なしで作業を行っているが、地方自治体など規制機関による現地指導は書類中心で実効性を欠く。そうした基礎的な工事現場の安全管理が忠実に行われるように、現場中心型の安全専門家を育成する量的・質的な補完策が伴わなければならない。
第三に、安全は企業は勿論、政府、個人がいずれも守らなければならない社会的価値だ。現場で働く勤労者と現場監督者の安全意識がなければ、いかなる規制も「要式行為」(一定の方式を踏まなければ不成立、無効とされる法律行為)にすぎない。そうした空白を補うためには、建設業者自らが安全に作業を行う準備ができていない下請け業者や作業者を現場に投入せず、勤労者も安全が保障されていない作業環境であれば、作業を拒否できる環境を整える必要がある。
「賢い安全生活」はそうした現場での安全意識の変化が働き方の変化、管理方式の変化につながり、新たな安全文化が定着してこそ可能だ。そして、そうした変化は究極的に企業の競争力を強化する礎になるはずだ。
姜斉相(カン・ジェサン)慶熙大行政学科教授