兄弟が学童保育などをきちんと利用できなかったのは、母親Cさん(30)が「子どもの面倒は私が見たい」と言ったからだという。ドリームスタート側は18年8月から19年5月まで、A君兄弟に対する心理カウンセリングとプレイ・セラピーを続けていた。ドリームスタート側は「兄弟はうつ傾向が顕著で、心理カウンセリングが必要だった」と明かした。しかし母親Cさんは、兄弟を児童センターに送ろうというドリームスタート側の勧めを拒否した。家庭保育にこだわり、やがて連絡すらきちんと取らなくなった-というのが区庁関係者の話だ。この関係者は「ドリームスタート事業に強制性はないので、保護者が希望しないのであれば支援を行う方法はない」とし「制度的な改善が必要」と語った。コロナによる非対面遠隔授業の期間中も学童保育は運営されたが、Cさんは一度も申請しなかった。仁川市教育庁のイ・サンフン報道官は「申請しなくとも学校に送ってくれさえすれば学童保育を利用できるのだが、保護者が許さなかったものとみられる。学校としても、どうすることもできない状況」と語った。
児童を保護するためのセーフティーネットは無力だった。兄弟が母親に虐待されている状況は明らかだったが、改善されなかった。警察や仁川市などによると、住民らは18年から今年まで3回にわたり、母親Cさんを児童虐待および放任の疑いで仁川児童保護専門機関に通報した。2年前の18年9月16日に最初の通報が受理され、仁川市児童保護専門機関は屋内の清掃など環境を改善すべきだと母親を注意した。しかしその後も状況は好転せず、昨年9月24日の2度目の通報に続き、今年5月12日に3回目の通報があった。