大法院による今回の全教組の判決は、これまで法外労組処分取り消しのためさまざまな訴訟を起こしてきた全教組にとっても思いも寄らなかった法理だった。全教組は2014年、この事件の二審の最中に「現職教員だけが教員労組に加入可能とした教員労組法第2条などは労働三権を過度に侵害している」と違憲法律審判を申請した。全教組も現行法下では政府の「法外労組」処分が適法だと見て、憲裁で違憲判断を受けた上で、その根拠法そのものを無効化しようとしたのだ。
これに対して憲裁は2015年、「現職教員ではない人物が教員労組の意思決定に介入すれば、労組の自主性を害する可能性がある」として、この法律の規定について合憲と判断した。だが、金命洙大法院長下の大法院は「施行令に基づいていたので違法」という法解釈で全教組法外労組処分を無効にした。元裁判長の弁護士は「全教組が大法院の今回の判決論理を知っていたら、まず憲法訴願などを出していただろう。大法院判決は全教組合法化という目的のために法の技術を駆使した『技巧司法』の典型だ」と語った。
大法院が適用する法理は人や団体によってまちまちだという批判も出ている。大法院は全教組法外労組処分が無効であると判断した論理として「法律留保」という憲法原則を掲げたが、全教組の労働三権のような基本権を制限する際は法律に基づいていなければならないということだった。しかし、大法院は今年6月のある企業の件ではこの原則を適用しなかった。株式会社を経営する李という人物が2011年、自分の兄に会社の株75億ウォン(現在のレートで約6億7000万円)相当を譲渡したが、国税庁はこれを「特殊関係者間取引」と見て、株式譲渡額に30%を割増した金額で税金を課した。ところが、「30%割増」は所得税法には明記されておらず、下位施行令に基づくものだった。今回の「全教組判断」通りならば、このケースも「国税庁は李氏の基本権(財産権)を法ではない施行令に基づいて侵害したため違法だ」と判決すべきだが、当時の大法院全員合議体は「法律の委任範囲内にある適法措置」だと説明した。あるベテラン弁護士は「大法院は自分と同じ側の不利益は違法であり、自分と違う側の不利益は適法だという、ゴムひも(変幻自在な)政治判決を続けている」と話す。