ただし民主党にとっては残念だろうが、統合党は光復節集会には参加していなかった。逆に統合党の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表を含む党執行部はチョン牧師に対し「共同善を崩壊させる行為は許されない。代価を払わねばならない」と批判していた。ところが与党による「レッテル貼り攻勢」は今も増幅している。全党大会の演説では野党抹殺の狂気まで感じられた。金富謙(キム・ブギョム)議員は「極右勢力がウイルスを拡散させており、統合党がその背後にいる」と主張し、李元旭(イ・ウォンウク)議員は「ウイルステロ犯をほう助した金鍾仁(キム・ジョンイン)委員長を引きずり下ろせ」と訴えるなど、ずうずうしい陰謀論が堂々と語られていた。水害による被害については全て前政権が原因ということになった。統合党が李明博(イ・ミョンバク)政権当時の4大河川事業による洪水防止効果に言及すると、民主党の薛勳(ソル・フン)最高委員は「洛東江の土手が決壊した最も大きな原因は、4大河川のせきが水の流れを妨害し、土手が耐えられなくなるほど水圧が上がったからだ」と主張した。
国民の安全に直結する大規模災害が、与党勢力を通じて政争の具となってしまい、ただでさえ不安な民心を一層動揺させているのだ。「人が先だ」として政権を獲得した与党勢力が、実際に災害が起こると「政治が先だ」と叫ぶ形になった。災害からの復旧に当たり国民を守る最終責任は政権にあるはずだが、彼らは自分たちの間違いは絶対に認めない。より大きな問題は、危険な災害を手段とし、自分たちに反対する集団をひとまとめにして追い込む発想とも言える「うさぎ狩り式政治」が日常化しているという点だ。
イェール大学のティモシー・スナイダー教授は著書「暴政」の中で、ベルリン議事堂火災とナチスに言及し「突然襲ってきた災害がけん制とバランスを終わらせ、野党を解散させ、公正な裁判の権利まで中断させる。だまされてはならない」と指摘した。光化門集会の一部開催を認めた判事まで批判する民主党の行動を見ていると、今のこの時期を正確に表現した警句だ。もし与党勢力の誰かが、コロナ事態を「親文の世の中完成」のチャンスと考えていないか、それを思うと恐怖で寒気がする。
政治部=チェ・スンヒョン次長