この22年間で最悪だという経済の成績表について、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「奇跡のような善戦の結果」と言った。この政府の我田引水、自画自賛、ネロナムブル(私がすればロマンス、他人がすれば不倫)を聞くのは一度や二度ではないが、-3.3%という成長率と過去最も高い失業率を前にしても「善戦」と言うとは驚きだ。
新型コロナウイルスで数カ月間経済がストップしている欧米よりもましだと言って「精神勝利(自己正当化)」する前に、韓国からそれほど離れていない台湾にしばし目を向けてみることをお勧めしたい。韓国と台湾は経済構造の面で双子のように似ている国だ。両国とも製造業が強く、輸出で生計を立てていて、中国に対する輸出依存度が高い。主要輸出品目も半導体・電子製品・精油化学などと重なっている。1990年代後半にアジア通貨危機に見舞われた後、両国の財政当局はドル備蓄や財政健全性に死活をかけたという点も似ている。6月末現在の外貨準備高は韓国が世界9位、台湾が同6位。国家債務比率は韓国38.1%、台湾32.8%だ。
諸条件は似ているが、最近の経済成績表はかなり差がある。韓国は4-6月期の国内総生産(GDP)が前年同期比2.9%も減少したが、台湾は下落幅が0.7%にとどまった。米国の格付け会社ムーディーズは今年の韓国の成長率を-0.5%、来年を2.8%と予想している。台湾は今年0.2%、来年3.7%だ。それぞれの国を代表する企業であり、世界の半導体市場のライバルであるサムスン電子とTSMCは両国が直面している状況を象徴的に現している。パンデミック(感染症大流行)のさなかでサムスン電子もそれなりに善戦しているが、TSMCは今年に入って大躍進し、時価総額の面で18年ぶりにサムスン電子を追い越した。1年前は想像だにできなかったことだ。