ところが、韓国外交部は最近まで「まだ事実関係が確定しておらず、個人情報保護の必要性などを考慮して現段階で回答することは適切でない」という見解を繰り返していた。これは、政府レベルで対処することではないという意味だ。韓国外交部は自主監査を通じてA氏に1カ月減給という懲戒処分を下すにとどまった。A氏は現在、東南アジアの主要国で総領事を務めている。甘い懲戒処分にとどまったことから、「セクハラの意図はなかった」というA氏の話をほぼ受け入れたものと思われる。
韓国外交部は、期待とは裏腹に議論が拡散の様相を呈すると、ようやく関連部署を中心に対応を準備する姿勢を見せ始めた。外交問題に飛び火する兆しが見え、あわてて対処に出たものだ。現在、人事制度チーム・監査官室・国際法律局などを中心に、今回の事案が発生した当初の状況をあらためて調べている一方、ニュージーランド政府の調査協力要請などにどのように対応するか苦心していると言われる。
同日は与野党を問わず外交部の安易な対応をしっ責する声が聞かれた。与党・共に民主党の宋甲錫(ソン・ガプソク)報道官は29日の論評で、「大韓民国を代表する外交公館で発生した好ましくない事件で、国の品格を損なう深刻な事案だ。外交部の安易な認識や対処は懸念される」と批判した。文在寅政権になってから、性関連の不祥事で懲戒処分を受けた外交部職員は14人に達する。陳重権(チン・ジュングォン)元東洋大教授は「裁判も受けられないようにし、永遠に無罪と推定だけするという話なのか」と言って、韓国政府の見解を「K-弁明」と批判した。被害者側はこの問題について韓国国家人権委員会に陳情し、人権委は近く調査結果を発表するとされている。
キム・ウンジュン記者