韓国の保守系野党・未来統合党の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表は27日、朴智元(パク・チウォン)国家情報院長候補者が南北首脳会談を前にした2000年4月、北朝鮮に対して3年にわたり総額30億ドル(現在のレートで約3200億円、以下同じ)の経済協力と人道支援を提供すると約束した「(南北間)経済協力に関する合意書」を電撃公開した。首脳会談と関連して、韓国政府が北側に具体的な額の経済支援を約束した南北合意書が公開されるのはこれが初めてだ。
金大中(キム・デジュン)政権が首脳会談の見返りに、北朝鮮に対して5億ドル(約530億円)を違法で送金した事実は2003年の対北送金特別検事を通じて明らかになった。当時、北朝鮮への送金に関与した朴候補者は懲役3年を宣告された。しかし今回公開された合意書が本物であれば、北朝鮮に対して25億ドル(約2600億円)を追加で提供しようとした事実が明らかになったことになる。
朱院内代表はこの日、国会情報委員会で開催された朴候補者に対する人事聴聞会で「南北間の秘密合意書」として文書を公開した。この合意書には「第1、南側は民族的協力と相互扶助の精神に立脚し、北側に2000年6月から3年間25億ドル規模の投資および経済協力借款を社会間接部門に提供する」と明記されていた。さらに「第2、南側は南北首脳会談を契機に、人道主義精神に立脚して5億ドル分を提供する」とも記載されていた。
この「経協合意書」が作成された2000年4月8日、朴智元・文化観光部(省に相当)長官(当時)と北朝鮮の宋虎景(ソン・ホギョン)朝鮮アジア太平洋平和委員会副委員長は中国北京で行われた3次接触で、6月の首脳会談開催に電撃合意した。当時締結された「南北首脳会談合意書」は一般に公開されたが、「経協合意書」は公開されなかった。二つの合意書は同じ文書の形式で作成されており、朴候補者と宋副委員長の署名も同じように記載されていた。
これに対して朴候補者は「(合意書については)記憶になく、署名もしなかった」「私を陥れるために捏造(ねつぞう)された文書だ」と反論した。未来統合党情報委員会幹事の河泰慶(ハ・テギョン)議員は人事聴聞会終了後、記者団に対し「(朴候補者は)合意文にある内容とよく似た言及はしたが、実際にサインした合意文は作成しなかったと答弁した」と明らかにした。